フォカッチャ生地の手捏ね。

フォカッチャ生地を作ろう。

1 フォカッチャ生地をオススメする理由

 

 

 

 

 

 

 

手捏ねパン入門にモッテコイなパン生地があります。
それが、フォカッチャ。

どんな部分がモッテコイかと言いますと。
先ず、材料がシンプルな事。
それに、失敗することが少ない。
これに尽きます。

以下余談です。

ムラタが、パン教室時代生徒さんから多く聞かれた質問の一つに、

シンプルなパンを作りたいです。と言う事。
理由はそれぞれですが、印象に残っているのが、
『子供が、卵、乳製品アレルギーだから』
『食事中に出てくるようなテーブルブレッドを作りたいから』

パンの中で最もシンプルといえば、バゲット生地になります。
粉、塩、イースト、水、(プロは天然酵母の併用)
このバゲットが作れる事を目標にしている生徒様が沢山いらっしゃいましたが、
初めての方にはオススメしておりませんでした。

なぜかと言いますと、
パン作りにおいて、
補助的な材料が少なくなれば成る程難しくなるからです。

例えば、

菓子パン生地や、食パン生地は作りやすい『ざっとした理由』。
砂糖、バター、卵、などが入ると、パン作りは失敗しにくくなります。
(っと言うより、失敗しても目立たなくなります)それは、生地が何らかの手作業中に痛んだり、傷ついたりしても、配合されている油脂で、
再度繋がって修復する力を持っているからです。グルテンを最適な状態にしていなくても、油脂のおかげで延びやすい生地ができているからです。配合している糖分で、焼き色がつきやすいからです。このような砂糖、卵、乳製品を多く含むパンをリッチなパンと呼ぶこともあります。
バゲット生地や、カンパーニュ生地が作り難い『ざっとした理由』
砂糖無し、油脂分無し、卵無しの場合。手作業中に、生地を傷めてしまうと、膨らみが悪くなります。グルテンの伸びを良くする要素の知識(生地のphや、給水量、グルテンの分解などの知識)が無いと、延びやすい生地ができません。もともと、糖分を配合していませんので、デンプン質を糖化しないと、甘みを感じないパンが出来上がります。それに焼き色も付きにくいです。このような砂糖、卵、乳製品を含まない(少ない)パンをリーンなパンと呼ぶこともあります。

 

2 材料準備

今回使用した材料。

ゆめちから100%(木田製粉)【北海道産強力粉】 / 2.5kg

セルマランドゲランド ゲランドの塩 エクストラファン(微粒) 600g

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カップ印 きび砂糖 / 750g TOMIZ/cuoca(富澤商店)

サフ セミドライイースト ゴールド 400g
ビタミンCが入っていないタイプ。
本来なら、(無糖性)を使うのですが、イーストを買い揃えると結構大変なので、
以前菓子パン生地で使用したものと一緒なものを使いました。

La Tourangelle オーガニックエキストラバージンオリーブオイル [海外直送品]

3 配合(計量)

ゆめちから 220g
ゲランドの塩  4g
きび砂糖    4g
サフ冷凍イースト 2g
水       150g

エキストラバージンオリーブオイル 5g

4 捏ねる

生地の捏ね方の一つにオールイン。
と呼ばれる捏ね方があります。オール(全て)イン(入れる)

です。初めから、全ての材料を入れて捏ね始めて、捏ね終わるという極めてシンプルな捏ね方になります。

っで。
フォカッチャはオールインでしようかと思ったのですが。
油脂後入れにしてみました。

油脂後入れと申しますのは、
材料中の油脂(今回の場合はエキストラバージンオリーブオイル)を
グルテンをしっかりと作ってから、その後に油脂を混ぜる事です。

どこがどう違うのかと申しますと。

オールインよりか油脂後入れの方がグルテンを作り易く、ボリュームが出易くなります。

今回、『よりふっくらとしたフォカッチャを家庭用オーブンで焼くという事』を目的としておりますので
油脂後入れにして、ふっくらフォカッチャを目指します。

では、長いですが、動画で見て頂けますと幸いです

このフォカッチャレシピのパンを焼き上げて思った事があります。

食感が硬い。
噛みちぎるのに、心地よさが感じれない。
もちもちという食感よりか
ムチムチ。

作ってみて思った事。っであります。
ビギナークラスでは十分美味しいと思えるレベルですが。
プロレベルでは無いです。

だから動画の撮り直しをしてみようと思います。

『じゃ最初っから撮り直した動画アップして』っと言われそうなので
言い訳がましく申し上げます。

同じレシピで給水が違うだけでも
別物の生地になります。

っと言う事で次に水を170gに変えて捏ね直した動画をご覧くださいませ。
レシピ全体で言いますと。

ゆめちから 220g
ゲランドの塩  4g
きび砂糖    4g
サフ冷凍イースト 2g
水       150g → 170g

エキストラバージンオリーブオイル 5g
当然、水を多くする事によって柔らかくなります。

当たり前かもしれませんが、
給水を増やすと、生地は柔らかくなり、
給水を減らすと、生地は硬くなります。
この給水量による生地の硬さの変化が、
パンを食べた時の食感にダイレクトに繋がっております。
パンの食感を硬くしたければ、給水を減らして、硬い生地を作る。
パンの食感をふっくらと柔らかくしたい時には、給水を多くして、柔らかい生地を作る。
これだけで、パンの印象がガラッと変わります。
でも給水を変える時に気をつけてほしい事があります。
失敗する覚悟をして行ってください。
と言う事です。
もし失敗をしたくないと言う方は、粉の品種、メーカー(製粉会社)をしっかりと真似して作ってください
粉が変われば       最適給水が変わる。
これです。これ。言いたいことは。
失敗しないパン作りのポイントとして、
レシピの粉の種類をパン作りに慣れるまでは変えない方が良いと言う事を頭に入れておいてください。
慣れると、粉を変えたとしても、生地の硬さで覚えている事ができますので、水分調整ができるようになりますので、ご安心を。
それでは、次に進みましょ〜。
以降の説明は、給水を増やす前の水150gのレシピを元に続けます。

5 一次発酵(前半)→パンチ

捏ねる
一次発酵(今ここです)
パンチ
一次発酵続き
分割、丸め
ベンチタイム
成形
最終発酵
焼成

あまり深く考えたくない方は、オーブンの発酵機能で40度設定で50分かけてください。

以下。もう少し詳しく理解したい、
給水を増やした方のレシピで作ってみたい
と思う方は、読んでいただけますと幸いです。

前回の

基本の手捏パン 菓子パン生地

でもこの一次発酵は出てきましたが、もう少しだけ掘り下げてお話しします。

パン屋さんがする一次発酵でよく使われる温度や時間は28度〜35度で60分〜90分
(生地によっても違いますし、レシピによっても違います。)

家庭製パンの本などを見ると、一次発酵は40度で30分〜40分と言う表記が多く見かけられます。
(家庭製パンでもレベルの高いものも当然あります。)

この違い実は大きな結果の差を生み出すのです。

結論から先に申し上げさせていただきます。

高温で早く発酵させるパンと適切な温度でゆっくりと発酵させるパンを比べた場合
高温で発酵を進めたパンは以下のように成ります。

家でパンを作ると、萎んでしまう。
家でパンを作ると、大きく膨らまない。
家でパンを作るとイースト臭い。
家でパンを作ると冷めたら硬い。

そうなんです。
このうまくいかない原因が実は温度と発酵時間の関係にふかーく関わっているのです。

発酵をゆっくり長く取ることによって実は以下のような事が生地中で行われております。

粉に水分が行き渡ります。→しっとり感が増します。
発酵で出た二酸化炭素によって生地が酸化されます。そうすると生地が一定ラインまでだと強く成ります。→生地の伸展性がよくなって伸びやすく膨らみやすい生地になります。

でんぷん質が分解されます。→
パンを食べた時甘みを感じやすくなります。
パンの固くなるスピードが遅くなります。=日持ちが良くなる

タンパク質が分解されます。→
パンを食べた時旨味を感じやすくなります。

その他、色々と変化する事があるのです。

そうなんです。
時間を適度に長くかける方が良い変化が起こるのです。

だからこれからパン作りを続けていこう。より美味しいパンを作りたい。
と言う方は、

少しだけ時間をとって、一次発酵を長くして欲しいのです。

基本的な考え方はこうです。
温度が高ければ早く発酵します。  40度 50分とかの一次発酵です。
温度が低ければゆっくりと発酵します。 28度 70分とかの一次発酵です。

では、温度を変えてしまってどのように一次発酵が終わったかを確認できるのか。

それが、パンチを入れるタイミングに確認する膨らみ加減です。

もう諦めたいと思ったあなた!
そんな時はオーブンの発酵機能で40度設定で50分かけてください。
それでもレシピを守って作れば十分焼きたては美味しいパンが作れますよ。

もっとステップアップをしたいというあなた!
次のパンチの説明にお進みくださいませ。

☆ パンチ

捏ねる
一次発酵
パンチ(今ここです)
一次発酵続き
分割、丸め
ベンチタイム
成形
最終発酵
焼成

もし40度で一次発酵をとったとしても、
28度で発酵をとったとしても

下の動画のような確認をして最適な『一次発酵終了(パンチを入れるタイミング)』、
を見極めることができます。

フィンガーテストです。

その名の通り。
指テスト
指穴テストなどとも呼ばれております。

粉を振った生地の表面に粉をつけた指を差し込んで、
その指穴が直ぐに閉じてしまうようなら、生地がまだ発酵が足りてませんよ〜。
指穴をさしたら、全体の生地の持ち上がりがしぼんだ時は、発酵しすぎですよ〜。

っと言うのが一般的な使い方と解釈。

ですが、パンチの上の動画と、下の動画のフィンガーテスト。
よーく見比べてみてくださいませ。

指穴の残り加減が違いますよね。

そうなんです。
このフィンガーテストなるもの。

生地の種類、硬さによって、全く違う反応をするのです。

だから。生地の種類によって覚える必要があるのです。

食パンのフィンガーテスト。
ブリオッシュのフィンガーテスト。
菓子パンのフィンガーテスト。
バゲット生地のフィンガーテスト。
カンパーニュ生地のフィンガーテスト。

大まかに分けるとムラタパンでは、こんな感じです。

 

じゃー結局のところ、このフォカッチャだと、どおしたら良いの?

指穴を開けたら全体が萎むと言う3割〜2割手前でパンチを入れてください。

3割〜2割手前でパンチって言われてもね〜。

難しいですよね〜。

難しいわよ〜素人なんだから〜

ですよね〜。僕もそう思います。

これでは、説明になりませんので、パンチのタイミングによる違いを書き出してみます。
上から順に発酵未熟〜発酵過多まで順に説明しますね。
一次発酵初期=指穴が直ぐに閉じてしまう(不足)にパンチを入れた場合
焼き上がりのパンが目が詰まったようなパンになります。
冷めたパンを食べると固く詰まったように感じます。
一次発酵中期=指穴が1、2秒で閉じてしまう(不足してはいないけど気持ち不足気味)
もうちょっと待ったほうがふわふわパンが作りやすい。
焼きたても美味しいし、冷めても美味しく感じれます。
決して失敗というレベルではなく、ビギナーレベルで言えば十分なパンになります。
一次発酵適正タイミング=指穴が綺麗に残っている状態
焼きあがったパンが冷めた時でも、ふわっとしている。
パン屋さんで買うパンに引けを取らないような膨らみ。
一次発酵後期(少し過剰)指穴を入れたら軽く萎む
最終的にオーブンに入れた時、釜伸びと呼ばれる膨らむ現象が起こり辛い。
ふわっと感のかけるパンが焼き上がる。
一次発酵末期(かなり過剰)指穴を開けたら、全体が風船が萎むようにしぼんでしまう。
パンチに続く作業がベタベタして、作業が難しくなります。
焼き上がるパンも膨らまなく、背の低い、ペタンとしたパンが焼きあがります。
ふわっと感というより、硬い印象を受けるパンが焼きあがります。
パンチを入れるタイミングによってこんな違いが出てきます。
実は、動画の給水を増やした方のパンチですが、一次発酵後期(少し過剰)です。
もう一度見てみてください。
指穴の周りの張りが無くなっていってます。
要するに、萎みかけていってるという事です。
最適なパンチのタイミングというのは、パン職人の世界では、
トライアンドエラー、あんど〜〜〜〜〜改善。
これが基本中の基本です。昨日焼いたパンが、膨らみが悪かったから、パンチをこうしよう。
昨日焼いたパンが、萎んだからパンチをこうしよう。こんな感じで適正なパンチのタイミングというのを、季節に応じて、
その時の作業の流れに応じて変えていくものなのです。
この記事を読んでいただいている皆さんは。
もし一回こっきりのパン作りで、楽しみながらパンを作りたいという方は、
あまり深く考える事なく、大体の時間と温度の目安で作ってください。
それでも、十分焼きたては美味しいですし。
サンドイッチなどにする分には十分すぎるくらい、愛と心が込められたパンが焼き上がるはずです。

もし、毎日のパンを作る場合には、ほんの少しだけ、焼きあがったパンを観察してみてください。

    

そこにパンチの答えが潜んでいるのです。

☆ パンチの後の一次発酵の続き→

捏ねる
一次発酵
パンチ
一次発酵続き(今ここです)
分割、丸め
ベンチタイム
成形
最終発酵
焼成
あまり深く考えたくない方は
パンチを入れた後は再度ボールに入れ直して、40度で25分取ります。
もっとおいしいパンを作りたいと言う方は以下に進んでください。
ここでも28度ー35度を使って30分〜40分
ゆっくりと発酵させるというのが出来ればレベルアップです。
このパンチ後の一次発酵の終了の目安も
同じくフィンガーテストで確認をすることができます。前項で説明した通り、指穴が残る程度で終了しましょう。
ここで少しだけ気づいて欲しい事があります。
それは、生地の強さ(硬さ)です。
1回目にパンチを入れた時よりか、2回目に入れる時の方が強くなっているはずです。
パン生地の発酵の過程で変化している事の一つに、『生地の力』と言うのがあります。
捏ねる
一次発酵
パンチ
一次発酵続き
分割、丸め
ベンチタイム
成形
最終発酵
焼成

この全体像の一つ一つの作業に実は、生地の力を強めていくポイントが隠されているのです。

一つ一つって、それじゃーどこかの1つの作業を端折ったりタイミングを間違えたらどうなるの?

 

安心してください。
パンとしては焼き上がります。でも。。。。

少し小さく焼きあがってしまったり、

硬くなったりする事があります。

だから、このポイントを知っていると、パン作りがより一層楽しくなると思います。
知らないと、なんで失敗したのかが分からなくて、ちょっと不安になったりするかもしれませんね。

 

基本が大事って事ね。

 

その通りです!!声を大にして言いたいです。
基本が大事なのです!!

 

ではこのパンチ後の一次発酵をとった後どのように進むかと言いますと、

2通りの進む道を御用意しました。

その日に焼きたいという方は3ページ目へ(直接法)

次の日に焼きたいと言う方は2ページ目へ。(低温長時間発酵)オーバーナイトなどとも呼ばれております。

パン作りの基本系は何度もしつこいですが、

捏ねる
一次発酵
パンチ
一次発酵続き
分割、丸め
ベンチタイム
成形
最終発酵
焼成

これが基本形なのですが、
この基本系については前回の基本の菓子パン生地を参照してください。

ちょっとレベルが上がると
途中で生地を冷蔵すると言うことが出来るようになります。

低温長時間発酵のパン作りの工程
捏ねる
一次発酵
パンチ
一次発酵続き
パンチ→冷蔵庫へ
15時間後〜36時間後
冷蔵庫から出して    
分割、丸め
ベンチタイム(生地が冷たいのでちょっと長くなります)複温させると言います
成形
最終発酵
焼成
この低温長時間発酵、
難しいと思うかもしれませんが、
ぜーんぜんむずかしくないです。
ただ、適切なタイミングで、適切に冷やすだけです。

では直説法に進む方は3ページ目

低温長時間発酵法に進む方は2ページ目へ。