混ぜ込む材料によってはパンが膨らまなくなる。

ガーリックパンが食べたい!
こんな思いに駆られて。
どう作ろうか考えてみる。

昔作っていた方法を思い起こしてみると。。。

バターにガーリックパウダーとパセリを混ぜて焼きたてのバゲットの表面に塗る方法。

焼き上がったバゲットにバターを塗って、ガーリックパウダーを直接ふりかける方法。

元々出来合いのガーリックバターを塗る方法。

こんな感じのやり方がありました

そこでムラタは思いついた方法を実行。

冷凍庫から出したニンニクのみじん切り(すりおろしではない)をバゲット生地に練り込んでみたのです。

その結果がこちら。

 

膨らまなかったのです

こねあがった生地をホイロに入れて、待てど待てど膨らむ気配がないのです。

どうしようもなく、冷蔵庫で一晩寝かせて焼こうとしてみると

発酵のはの字もないような状況で、焼き上がったパンは、
っというか焼き上がったものは、『ぬれおかき』のような状態。

この発酵しない状況をみて、すぐに思い立ったのが
ニンニクの『殺菌効果』

パンを膨らますためのイーストが、ニンニクの成分によって遣られてしまったようです。

ガーリックブレッドは、なぜ生地にニンニクを練りこまないのかが分かったのですが、そこで引き下がらないのがムラタパン。

では、加熱したらニンニクの殺菌作用がなくなるのではと試してみると

無事、発酵はするようになったのですがまた違う現象が発生。

出来上がった生地が『ユルユルなのです』

手でさわれないくらいの柔らかさ、ベトベト感が満載です。

なぜですか。

タンパク質分解酵素は60度以上で失活するのではないのですか。。。。

生地に混ぜ物をするときに必要な基礎知識

上記のような失敗を今まで幾度となく繰り返し、経験的に覚えた事が多いのですが

ザックリとこんなことに注意したら大丈夫ではないかなと言うこと。

  1. 生地に混ぜるものが、水分を多量に含んでいないこと(生のフルーツ等)、または生地の水分を吸い取ってしまうようなもの(種子系のもの、ごま、亜麻仁、ケシの身等)ではない事。種子系のものは事前処理が必要な場合があります。
  2. 生地の発酵力を阻害するような物質ではない事。
    ニンニク等
  3. グルテンを溶かしてしまうような、タンパク質分解酵素が入っていない事
    グレープフルーツやパパイヤ等
  4. 糖分を多く含みすぎている材料(蜂蜜の添加等)ではない事
    発酵力が低下します。
  5. 生地のph値を極端にアルカリ性、酸性に傾けるもの(ワインで仕込む等の行為)ザックリと日常のパン作りで気をつける事はこのような事ではないかと思います。

混ぜ物でパンのバリエーションを増やす

一昔前は、新作のパンを作ろうとする時
全く新しい生地を配合から考えて作っておりましたが

時短労働、効率化が進む中、お客様に喜んでもらえるような種類のパンを並べるには、ベースとなる生地から、混ぜ物の生地を派生させる事が出来ると役に立つのかもしれません。

パン作りを20年近くやってきて最近思う事ですが

レシピの分解という作業を行なっていると、『元は全て同じ』ということによく気付きます。

元々は粉と塩と水と菌。

そこに甘味料が入り

油脂分が入り

卵、牛乳が入り

……..etc

こうやって考えると、実はバゲット生地から食パンを派生させる事も可能なのです。

色々な知識を身に着ける事。

その知識で、人を喜ばすパン作りが出来るようになる事。

つまづいて、こけて、怪我して、学んで、立ち上がって、前に進む。

このずーっと続く学びが面白いのであります。