折り込み系生地の延ばし、成形、保管、複温、発酵、焼成

折り込みまでが出来たら、その次に進む流れは成形、保管、複温、発酵、焼成

この折り込みが上手に出来ていても、それ以降の段階で台無しにしてしまう事が多々あります。
今回のお題は。成形。

成形

延ばすタイミング

折り込みの入った生地を成形するためには、延ばしが必要になってきます。
だけど、この延ばすタイミングが大事だと思うのです。
例えば、4つ折り2回の入った16層の生地を加工硬化が

『丁度取れてる』けど『適度に残っている』状態で延ばす

『何も気にせず、とりあえず10玉あれば、10玉全部折り込みを入れて、その後に1時間とか玉によっては2時間とか冷やして延ばす』

この2種類の考え方では、大きな結果の差が出てきます。

バターは冷やせば硬くなり、その時のバターの厚みにもよりますが、割れるもの。
もしバターがクラックしていない状態で延ばそうと考えるのであれば、
『折り込みを入れた後、どの位の時間冷却をかけて成形するための延ばしをするか』

ここをしっかりと決めて作業を進めると安定した製品が作りやすいと思います。

昔修行させて頂いていたパン屋さんでは、折り込みを前日に入れて、そのままの状態で翌日まで冷却して、当日に延ばし、成形、発酵、焼成としておりました。

このやり方でももちろん上手にできるのですが、層をきっちりと残したパンを作るには少し不向きなやり方かもしれません。

メゾンムラタでは、折り込みを入れた後5分で仮延ばし
更に7分で本延ばし、成形となります。
なので、一度に折り込みを入れる事が出来る玉数は
1人で折り込み→成形する場合3玉が限界です。
2人でペアで折り込みをする場合、継続して15玉位までは冷却の容量的にできます。

延ばすタイミングが決まれば、その後はどの位の厚みまで何往復で延ばすかを決めます。

延ばす

単純な話ですが、薄く延ばせば延ばすほど、層の残り具合は『発酵系の折り込み生地に関しては』悪くなります。それに、不必要に何回もリバースシートを通しても、層の残り具合は悪くなります。

どう言うことかと言いますと。

バターの層がしっかりと出るクロワッサンやデニッシュを作ろうとする場合、
デトランプとバターが、同化していない状態で、成形の段階から焼成の段階まで進む必要があります。

例えば1。クロワッサンを2.5ミリまで延ばして作るのと、3ミリまで延ばして作るのでは、層の出方は厚い方が明確に出ます。薄い方が、浮きが鈍くなります。

例えば2。クロワッサンを延ばす時、リバースシートで3往復で延ばしたものと、5往復で延ばしたものは、窯伸びした時の厚みの出方が違います。少ない回数で通す方が、擦れる事が少なくなり(=バターをデトランプに擦り込む現象が少なくなり)しっかりとデトランプとバターが分離した状態を維持できます。

カット

生地を延ばしたら、その後は素早くカットします。
このカットする時の注意点は
しっかりと冷えて固い状態で延ばした生地がダレない間に、よく研いでいる包丁で『サクッ』っとカットする事。

よくありがちなのが、延ばした生地が、夏場なんかはテーブルの上に延ばした途端、すぐに温度が上がってしまいダレダレの状態になってしまい、そこに包丁を入れて層を押しつぶしてしまう事。

 

これは、設備の点など、どうしようもない部分もありますが、生地を広げるテーブルをスポットクーラーで冷やしたり、もっとも良いのは、パイルームを完備したり、出来ない場合には、カーテン等で区切った部屋に冷気が入るようにして(熱気が来ないようにして)簡易パイルームを設置するなど出来ると年間を通して折り込みがしやすくなります。

スポットクーラーの場合、テーブルのみを冷やすのではなくて、リバースシートのローラー部分も冷やしてあげると効果的です。

具体的なカットの大きさ、重さ、形、はお店によって個々好みと原価的な部分が関わってくるので、
上記の基本的な、延ばしてからカットするまでが、成形では、もっとも重要になると思います。

一旦、バターがしっかりと均一に残っている、層のキレイに出る折り込み生地を用意出来ればこっちのものです。

次回は、成形した生地の『保管』について年末最終回を書かせていただこうと思います。

年末年始は、HPの作りを勉強したいため、ネットパン教室はお休みさせていただきます。
店頭まで来て、『ネットパン教室で勉強させていただいてます』とか、メールで『毎週楽しみにしてます』等、まだ初めて間もないのですが、嬉しいお言葉を頂けて、これからも、本当に少しずつですが、更新していこうと思っておりますので、お時間ありましたら、見ていただけますと幸いです。