生クリームリッチミルクパン。中種法の作り方を学ぼう。

 

 

 

 

 

前回のフォカッチャ生地レッスン
同じ生地を、
直説法で焼く方法と、
低温長時間発酵で焼く方法について
お話しさせていただきました。

お伝えしたかった事はズバリ、発酵時間をかけてパンを作ると
より美味しいパンが出来上がりますよ。
詳しくはこちらの記事を参照
という事でした。

そして、今回の『生クリームリッチミルクパン』(ちょっと贅沢な菓子パン生地)
のレッスンでお伝えしたい事は、

『時間のかけ方』の色々についてです。

時間をかけてパンをつくるって言われてもね〜。
夏なんかだと、外に置いてても勝手に発酵しちゃうじゃない。

そうですよね〜。
気温が高いと、なかなか難しいですよね〜。
だけど、文明の利器を使って時間をかけることができるのです。

それってクーラーで室温を冬みたいに寒くするってこと?

それもナイスアイデアですが、今回は、生地の一部分を前もって捏ねておく、
中種法と言う作り方を学びます〜。

それでは、材料説明から始めます。

材料

中種
強力粉  40g
水    28g
イースト(ゴールド) 0.5g
本捏ね
強力粉  160g
砂糖    15g
塩      4g
卵黄    16g
35%生クリーム 70g
水        42g
イースト(ゴールド) 2.5g
中種      68.5g(上の中種を捏ねて準備したもの)
材料が二つの枠に分かれているのは理由があります。
上の枠の『中種』を1日目に捏ねて(所要時間、捏ねるの5分、発酵40分〜60分)
下の枠の『本捏ね』を2日目にします。
言い方を変えると、
生地全体中の一部分を前日に捏ねて、発酵させて、冷蔵する。
その既に発酵している生地を本捏ねで混ぜ込んで捏ねあげる。
っと言う感じです。
では具体的にどうするかをみていきましょ〜。

中種の仕込み→保存方法

まずは動画から。

動画を見て『これだけ?』って思われたかもしれませんが。

これだけです!

適当に捏ねて、適当に発酵させるだけ。

そうなんです。
この前日にするこの一手間が、パンを劇的に美味しくします。

なぜか。

冒頭でもリンクを貼っていましたが、
パンは時間をかけて作った方が美味しいものが出来上がる。
っと言う内容が書いてあったのは覚えていらっしゃいますでしょうか?

詳しくはこちらの記事を参照

時間をかけてパン作りをする事によって、目には見えませんが、
パン生地中で『すごい変化が起こっているのです』

ここで少しだけ、お伝えしておかなければいけない事があります。
それは、時間をかけてパン作りをする=長い時間パン生地の側に居続ける
ではないのです。パン生地は適切な環境を整えてあげれば、時間と共に、勝手に美味しくなるのです。
コネ続けなくても良いのです。
大事な事は、どんな発酵をいつするかを、作り手が決める事です。

全部材料を一気に捏ねてしまえば、捏ね始めてから焼き上がるまでにかける時間が
4時間程度。
中種を仕込んで、翌日に本捏ねをすると
中種を冷蔵庫で保存している時間も含める事ができるので
中種(10時間〜48時間)+本仕込み4時間程度

この冷蔵庫で種を保存している時間は、
捏ね続けているわけでも、
何かの手作業を加えているわけでもないですよね。
だけど、小麦粉と、水と、イーストが混ざって、
発酵が始まると、
そこには目に見えない活動が酵母や、酵素によって始まっているのです。
この中種でずばり言いたい事は、
時間をかけてパンを作りましょう=酵母や酵素に働いてもらって、より美味しいパンを作りましょう。
っと言う事なのです。
では、このコネ上がった種をどうするかを見てみましょう。

40度で40分〜60分
発酵させると、プックラとした生地になります。
ここでの発酵具合は、かなりアバウトでも効果はでます。
(全く発酵していないと言うのはダメです。)
もしこの中種が、バゲット生地や、カンパーニュ用の中種だと、
結構注意が必要になるのですが、それはまたのお話で。。。
一度発酵した生地は、ガスを抜いて。丸め直して、冷蔵庫0度〜3度に入れて保存します。
(このレシピの種の保存可能時間は10時間〜48時間です)

本捏ね

こんな感じで捏ねます。。
早速動画をみてください。
見て欲しいポイントは、中種のいれるタイミング。

中種を捏ね始めから入れることもあるのですが、ムラタ 的には、
後半の生地がほぼ出来上がってから入れる事をお勧めします。
理由としては、中種自体が既にしっかりとした生地構成になっていて
『捏ねすぎ』になってしまう事を防ぐためです。
今回のレッスンの中種法
一つのパンを作るのに、時間を多くかける事に焦点を置いてますが、
それ以外にも重大な役目を果たしております。
それが、油脂の入れるタイミング』です。
油脂(バター、ショートニング、オリーブオイル、マーガリン)
の入る生地を捏ねるとき、大体の場合は油脂なしで捏ね始めて、
しっかりとグルテンが出た後に油脂を加える。
っと言うのがよくあるパターンです。
生地を捏ねると言うのは、擦れる摩擦と、打ちつけたりする衝撃
この2つがメインになります。
油脂を初めから入れてしまう事によって、擦れる摩擦が起こしにくくなります。
滑ってしまうのです。
だから、初めから油脂を入れてしまうと、力の弱い生地が出来上がるのです。
では、今回のこのレッスンの材料をもう一度見てみましょう。
中種
強力粉(アヴァロン)  40g
水    28g
イースト(ゴールド) 0.5g
本捏ね
強力粉(アヴァロン)  160g
砂糖    15g
塩      4g
卵黄    16g
35%生クリーム 70g
水        42g
イースト(ゴールド) 2.5g
中種      68.5g(上の中種を捏ねて準備したもの)
問題です。
この中で油脂はどれでしょう。
答えることのできた方は、良い分析力をお持ちです。
生クリームです。
そうです。
油脂分35%の生クリームです。

ちょっとまってよ〜。

油脂分は後から入れるって言ったばかりじゃない。

動画の中では、はじめから入れてるわよ。

そうです!そこが今回の中種法をする、

もう一つの理由なんです。

生クリーム食パンとかって聞いたことあります?

あるわ〜。
あの食パン専門店とかで売っているやつでしょ〜。
あの生クリーム食パンも、同じような感じなんです。
生クリームを入れると、しっとりと美味しくなるのですが、
生地が作りにくく(捏ねにくく)なるんですね。
何も考えずに生クリーム食パンを作ると、よくある失敗パターンとして、焼いた後の食パンが潰れたり(ケービング)(腰折れ)します。だから、知識あるパン屋さんだと、この中種法などを併用して、
初めから油脂が入るとしても、力を付けやすい生地作りをするのです。これが、もう一つの中種法を使う理由なんです。中種とは、前日に捏ねて、発酵させて、熟成(酸化)させたもの。
考え方としては、中種を入れる事によって、生地全体の力がつく
と言う事なんです!

よくわかんないけど、
とりあえず、
中種法をすると、

美味しくなって、
パン生地に力がつくってことね。

バッチリその通りです。

ご理解ありがとうございます。

コネ上がった生地は、一次発酵に進みます。

一次発酵 35度で45分 →パンチ

パンチのタイミングの見極めのために必要なのがフィンガーテスト。
前回の生地を読み飛ばしてしまった方はもう一度復習しましょ〜。
フィンガーテストの説明はこちら
それでは、フィンガーテストの加減とパンチの入れ方の動画を見てみましょ〜。

生地自体は結構しっかり(固い)ので乾燥しやすいので、ラップ等でしっかりと乾燥予防しましょう。

一次発酵後半  35度30分 →分割丸め or パンチして冷蔵庫へ

一次発酵後半が終了したら、
前回のフォカッチャ生地の手捏ね
でも説明をした、いつ焼きたいのか。によって工程が少し変わります。

そのまま焼く場合には分割丸めへと進みます。
翌日、翌々日、3日目、4日目、5日目に焼きたい場合にはパンチを入れて、
冷蔵庫へ入れます。この時に温度に気をつけてください。0度〜3度です。

今回のこの生地では、半分は直説法で焼き上げます。残りの半分は冷蔵法で焼き上げます。

では、一次発酵後半〜の動画を見てください。

直説法で焼く方はこのまま読み進んでください。

低温長時間発酵で焼き進む方は、2ページ目に進んでください。

ベンチタイム終了(35度40分位)→成形

 

 

 

う〜ん。どう見ても画像の質が悪すぎますね。

パン作りとは関係ないですが、すみません。
もう少しお小遣い貯めたら、もう少しマシなカメラ買おうと思っております。

今回の成形も前回のフォカッチャと全く一緒です。
ベンチタイムが終了しているかしっかりと確認して
(フィンガーテストで指跡が残るくらい)
適度に粉を振った生地を潰す。
オーブンシートを敷いた鉄板に乗せる。

パン作りの上達の近道は。
パン生地がしっかりと作れるようになる→成形の種類、難易度の高い成形を覚える
生地作りもまともに出来ていないのに
バゲットなどの難易度の高いパンを作ろうとして、
なんで上手くクープが開かないのですか?
っていう質問を受けたりするのですが。
プロでも無理です。
生地がちゃんと作れていないもので、
成形だけでどうにかなるものでは無いのです。
まずは生地作り。これがパン作りの最大の下積みです。
逆に言ってしまえば、生地作りが出来ていれば、多少成形が下手でもきれいに焼きあがります。

最終発酵 35度 30分〜

最終発酵が取れたら、
卵を塗って、
指穴を空けて、
グラニュー糖を振って
(今回は陳皮もかけました。温州みかんの皮を乾燥してパウダー状にしたものです。)

角バターを適当に乗せて、
家庭用オーブンの240度に予熱したところで焼きます。

DSC_0001

 

 

 

 

 

 

 

ここで家庭用オーブンの補足
焼いている途中でオーブンが止まってしまうと、設定が面倒だったりするので、
実際焼きたいと思う時間より長く設定してます。
今回このリッチパンの希望の焼成時間は9分〜11分
この時間内に焼きたいのです。
焼き時間が短かければ、粉っぽくて、生っぽいパンが焼き上がります。
焼き時間が長くかかり過ぎれば、硬くなります。
どちらとも、焼き立ては分かり辛いですが、
冷めて食べた時は、一目瞭然です。
パンを焼く時に、慣れるまでは、しっかりと希望焼成時間範囲以内に、
焼き上げれるようにしましょ〜。
そして、実際に焼いている最中にも温度の変更もよくします。
元々、このパンは何分くらいで焼き上げたいっと言うのがあり、
もし、焼きたい時間の全体の半分位で、焼き色がつき過ぎていれば、10度20度温度を下げて焼くこともあります。
逆に焼き色がついていなければ、10度20度上げて焼くこともあります。

DSC_0006

 

 

 

 

今回は中種を使って焼いている事と、元々の生地がリッチな為、
冷めてからでも十分美味しいパンだと思います。

中種の基本を、お伝えする今回のレッスンでしたが、
次回のレッスンは、連続中種の説明をします。

中種は中種でも連続中種。

一週間に2回位のペースでパン作りをする方の強い味方です。
『時短&美味しい』のベースになる製法です。

では、直接法、低温長時間発酵法、共に出来るようになってくださいね。

お疲れ様でした。。。。。

低温長時間発酵法の説明は2ページ目に書いてありますので、是非一読を。。。

追記

実際にこのレシピで、神戸製菓専門学校で授業を受け持たせていただきました。
授業となると、リアルに刻々と時間が過ぎると共に、生地も発酵していくので、説明に一貫性がなくなる場合が多いのですが、
このネットパン教室のお陰で、なんとか伝えるべきことは伝えることができたと思います。

生徒さんがまた、自分自身で一人で作るときのお役に立てればと思っております。
このネットパン教室を少しずつですが続けようと思いますのでこれからもよろしくお願い致します。

ありがとうございました