クープを入れるとは何か。

家庭パン作りをされている方で、目標の一つに上がる

『クープがバシッと開くようなバゲットが作りたい!』と言うのが有ります。

この『クープ』についてムラタ パンが思う事を書かせていただきます。

単刀直入に言いますと、

中の圧力をうまく逃す為です。

生地を捏ねるところから始まり、焼き上げまでの流れで、
最終的に生地はどんどんと力を付けていくのですが、
この力をうまーく逃してあげると、
『内層も外見も綺麗に焼き上がりますよ。』
と言う物が『クープ』です。

言い換えますと、力が無いのであればクープは入れない方が綺麗に膨らみますし、
個人的には美味しいと思います。

でもやっぱりクープが綺麗に入っているパンってかっこいいですよね。
パン屋をしていても、やはり、
クープの開きが悪いパンが並んでいるのと
開きが良いパンが並んでいるのでは、
気分も違いますし、お客様の視点も有りまして、
売れる量も当然変わってきます。

なので、クープとは、
『見た目にも美しく、味、食感的にも向上させる為の一つのテクニック』
と言う事にムラタ パンではしております。

では、とりあえずこの写真をみて下さい。

ビエノアを焼いてみたのですが、
左側がよく見かけるビエノア(ちょっと雑ですが。。。。)
右側が、ビエノアを作ろうと思ったけど切り込みの入ったコッペパンになってしまった物。
どちらとも、美味しいパンなのですが、思ったより違う物が出来上がってしまいました。

さらに上から見てみると、

さらに横から見てみると、

こんな経験はございませんでしょうか?

左=凹凸のしっかりとして見た目にもビエノアらしいビエノア。

右=表面の凹凸がなくのっぺりとした、ビエノアを作ろうとしたのですが、『コッペパン焼いたのよ』っというパン。

やっぱり違いますよね。

うまくいった方(左側)は成形直後にクープを入れました。
うまくいかなかった方(右側)は成形をして発酵させた後にクープを入れました。

こちらが成形直後にクープを入れた方(左側)。

こちらが発酵後の状態

こちらが発酵終了後に右側をクープを入れた方

こちらが焼き上がり。

っとこんな感じでクープをどのタイミングで入れるかで
見た目が大きく変わってしまうのが面白いところなのです。

っでどっちが良いの?
っと言われますと、正直どっちでも良いのです。
どっちでも美味しいから。
もし潰れてしまって、食感が硬くなってしまったら、それを意図していなかったのであれば、
成功とは言えないかもしれませんが、
綺麗に膨らんでいたのであれば、どっちでも成功です。

あとは、見た目がどちらの方が好きかという事になります。

ムラタ パン的にいいますと
右の方が好ましいのではないかなと思って作っております。

これがリッチ系の生地に言えるクープについてです

次にお話しするのが、セミハード系(ハード系の生地に混ぜ物等をする生地)
に行う『クープ』についてです。

では、とりあえずこちらの写真を見て下さい。

こちらの写真も同じように左側が成形直後のクープ
右側が発酵直後のクープです。

ビエノアで説明した内容と同じような現象が起こっております。

一つ以外は、クープを入れてます。

こちらが発酵直後の状態。

残りの一つにクープを入れた写真がこちら。

焼き上げてみるとこんな感じです。

左側が凹凸のしっかりとしている成形直後のクープ
右側が凹凸のボケたクープ。

このような感じで、セミハード系のクープに関しても同じような事が言えます。

上記の2つの例では、凹凸を綺麗に出すというのが綺麗に見えるポイントになります。

結論を言いますと、
凹凸のはっきりとした、表面を作りたい時は、成形し直後がよくあるパターンです。凹凸は少ないけど、シャープな切れ味を見せたいときには、
焼成直前(最終発酵後)というのがよくあるパターンです。

では、一番知りたいバゲットとかの、耳のしっかりと立っている、クープはどうするのっと言いますと。。。。。。。。
『圧力をどのように逃すか』の前に、
リーンな配合の生地で、『どのように圧力を作ってあげる事ができるか』
っと言うのを学んでから、
『どのように圧力を逃すか』を考える事ができないと、如何にクープがうまくてもカッコいいクープは開きません。

パン作りをしっかりと順番に学んでいくと自ずと答えは出てくると思います。

この続き(バゲットのクープのお話)はまた今度です。