クロワッサン デニッシュ系の

今日は具体的に焼成について書いてきます!

複温

まずは、複温(冷蔵庫等から生地を出して、常温に戻す事)させてからホイロへ。
これを怠るとこんな感じ(写真下)になります。

パッと見ると普通のクロワッサンに見えますが、発酵のバランスが何か違和感があるのがわかりますでしょうか?
真ん中の一番太い部分が、もっと伸びることが出来そうなのに、伸びれていない感があります。

どう言うことかと言いますと。
複温させずにホイロに入れると、どうしても巻いているクロワッサン系の成形のものに関すれば
巻いている中心部分の温度がしっかりと上がっていないのに、発酵が外側から強制的に進んでしまうと言うことです。

生地の中心部分が冷たいまま発酵が進む。生地の外側の部分だけが温められて発酵が進む。
見た目的には最終発酵が取れているけど、中心と外側の発酵のズレが生じていて
焼いた時に外側は発酵が丁度いいけど、中心は発酵不足。

焼いてみると(写真下)こんな感じです。

発酵のバランスがあまり良くないように見えます。

詰まっている部分と、すだちが大きい部分の差が有る様な気がします

ムラタパンで言えば、複温で全体の1割〜2割を外で(室温)乾かないようにとって
そのあとにホイロに入れて最終的な所まで発酵をとります。

ホイロ内の温度と生地が感じる温度

次に、ホイロに入れてから生地の状態で気にかける事と言えば。
生地が何度を感じているかと、表面が適度に湿っている事。

湿度が高くて、温度が高すぎるとこうなります。(写真下)

バターが『ダーっと』鉄板に引き出されていきます。
一旦バターが出始めると、紐で中身のバターを引っ張るように
『だーだーダーーーーーーーーー』っと骨の髄までバターが引き出される感じです。
これを見ると悲しくなります。
せっかくここまで、手塩にかけて育て上げた生地が、温度と湿度の調整の為だけに台無しになってしまうと言う無念さ。。。。

もし、環境に恵まれているのであれば
(折り込み系発酵生地専用の温度帯を指定出来るホイロがあれば)

29度位で湿度は機械任せにするのでは無くて、表面を触ってベタッと付かないけどカサカサもしていない状態。

これを整えて上げれば大体発酵は問題ないです。

ちなみにムラタパンでは、機材に恵まれていない為、

ホイロ36度〜38度設定 湿度35%(機械表示壊れてます)で発酵とってます。
まず有り得ない温度と湿度です。
でも、生地が訴えることをしっかりと感じて見ていれば、大丈夫。なはずです。

焼成

適度に発酵が取れたらいざ焼成です。

焼成する前にまずは卵を一般的には塗ります。
『ぬりたま』とか『焼卵(しょうらん)』とか『ドリュール』とかいろんな呼び名があります。(霧吹きのようなもので吹きかけるやり方もあります)

この卵は艶出し、釜伸び、食感に大きく影響を及ぼすので好みで選びましょう。

写真下は
左 塗り卵なし
真ん中が  加糖卵黄と牛乳の混ぜた物
右 卵を溶いたもの

写真下は
下 塗り卵なし
真ん中が  加糖卵黄と牛乳の混ぜた物
上 卵を溶いたもの

色、ツヤ、層の出方(残り方)、釜伸びの仕方(カクカクか丸っこくか)
卵ひとつでここまで差が出るのです。

もっともバターの層に影響なく焼き上げる場合には、卵を塗らないほうがいいです。
これは、卵のベタベタしているものが表面につかない為、きっちりと層が残るのと
焼き上げる時に、卵白の凝固温度75度、卵黄の凝固温度65度に影響されにくいと言うのがあります。

ゆで卵を想像していただけると分かりやすいと思うのですが
卵白は火が入るとベタベタ→プルンプルン
卵黄は火が入るとベタベタ→ポロポロ
この質感の変化が焼成中の釜伸びに影響する事はすごく面白いです。

ムラタパンでは、表面の艶は欲しい。釜伸びも適度にして欲しい。層が潰れない(卵の為にくっ付か無い)で欲しい。マルマルしたクロワッサンよりカクカクしたクロワッサンが焼きたい。焼き上げ後の乾燥を軽減したい。

こんな思いを胸に、加糖卵黄+牛乳と言うやり方にしております。

塗り玉なしで焼き上げるとしっかりと層が阻害される事なく伸びます。
写真下。

加糖卵黄+牛乳だと一番側面部分が少しつまり気味になったりします。(写真下)

溶き卵だと、層が潰されて、伸びが悪くなることもあります。(*この写真は折り込みが多分うまくいってない気がします)写真下。

どれも個性があっていいと思います。
大事な事は、どんな食感で、どんな質感の、どんな満足感のあるパンを作りたいかが想像出来ていて
それを具現化する事。

それが、お客様の体に入って心と身体を作る仕事を全うする事。

ムラタがパンを作る理由。

だと思うのです。

以上、まだまだ書き足りないのですが、ここでひとまずクロワッサン、デニッシュ系のレッスンを終了させていただきます。

次回以降は、日々起こる事(厨房珍事)や、パンを作っていて思う事を単発で書こうと思います。

いつも読んでいただきありがとうございます。