21%との付き合い方。

失敗に失敗を重ね。
さらに失敗する。
もうダメなんじゃないかと違う事まで心配し始めて。
頭が『やばい』信号を出し始めている

そうだこれは、パネトーネを作るリエビトのお話である。

パネトーネをルヴァンデューから作ろうと猛烈なアタックで試作しているムラタだが、ついにこのちっぽけな脳みそが持っている情報量だけではどうにもならないところまで来た感が否めない。

っでだ。

リエビトを種継するときに行う、水漬と言う作業。
それに、水の中で発酵させるという独特の製法、
浮いてきた時に、乾いた表面を削ぎ落として内側を使うと言う作業。
それと、ビニールに包んで、布で巻いて、ロープで縛り上げるというちょっとエロティックな保存方法。

もうここまで発想力が異常なレベルだと、自分の人格まで疑ってしまうレベルだ。

でももう後には引けない。
もう頭が『やばい』信号を出し始めているのだから。

それで話をもどすと、
なぜこんな特殊な種継方法が一般的かという事を理解してみようと思う。

そもそも水の中と外では何が大きく違うのか。

ムラタが水の中に入って出来る事。
目は痛いけど開ける事ができる。
肺を膨らますとちょっと浮く事ができる。
逆さまになると鼻に水が入って脳みそがキーンってなる。

できない事。
呼吸できない。

呼吸できない。
そうか。
『酸素』か。

空気中にあって水中に無いもので発酵に大きく関わってくるもの。
酸素や。
空気中には21パーセントの酸素が存在するんや!

っでだ。

有酸素と、無酸素での発酵、燃焼を調べてみる。

ざっくりと勉強した範囲だと。
生き物が生きる為に、増殖、繁栄するために、行うこと。
それは、エネルギーを作り出してそれを活力源にすること。

ブドウ糖→ピルビン酸

このピルビン酸を

①アルコール発酵(無酸素)→エタノールと二酸化炭素

⓶乳酸発酵(無酸素)→乳酸

③クエン酸回路『TCA回路』(有酸素)→二酸化炭素、水

①⓶③のシステムを使って、分解したり、燃焼させたりする。
そうすると副産物として、ピルビン酸が何か違うものに変わると言うこと。

菌が生きる為に増殖、繁栄するために必要なこと。
食料と空気と排泄。

なんや。
ムラタと一緒か。
っと気づいた時。

凄い事に気づいてしまった。

空気中の有酸素燃焼と
水中の無酸素発酵。

これや。
きっと答えはこれや!
ムラタが失敗し続けて、
もう元の人格に戻すのには数ヶ月要するくらいに変貌してしまったのは
これや。

なんで、ムラタのパネトーネは発酵力(ガスを吐く力)が弱くて
生地を溶かす力の方が強くて、パネトーネが膨らむより先に、溶ける方が先立ってしまって、持ち上がらないのかがわかってしまった。

ガスを吐かせたいのであれば、アルコール発酵を優勢にしてあげる必要がある。
だから、無酸素状態で発酵させてあげて、二酸化炭素とエタノールを出すようにする。

尚且つ、酸によって解けないようにするために、クエン酸回路の有酸素燃焼を抑える必要があるので、無酸素状態で種継をする。

なんでビニールに包んで(酸素に触れないように)布に包んで、ロープで縛り上げるのか。
これはエロティックでもなんでもなくて、必要以上に酸素との触れ合いをなくす為だったんだ!

なんで表面を削ぎ落とすのかというと、酸素に触れながらクエン酸回路で燃焼してしまって、いろんな有機酸を発生させた、生地を溶かす『酸』を取り除いていたんだ。

全部意味があったんや!

ムラタがフランスで学んだルヴァンの種継はどちらかというと、
『酸』を作るタイプで、

無酸素発酵の乳酸と有酸素燃焼のクエン酸回路による
クエン酸→イソクエン酸→オキサロコハク酸→コハク酸→フマル酸→リンゴ酸→オキサロ酢酸

この有機酸を風味と捉えて、いかに旨味を感じるパンを作るかという方に偏ったルヴァン

リエビトは、無酸素発酵で発酵力(二酸化炭素とエタノール)に重きを置いて、生地を溶かす酸を控えた種の継ぎ方なんだと。

文化の違いを感じてしまった。

もう体の細胞の隅々まで血が行き届いているくらいに今ソワソワしてる。

少しだけ成長できただろうか。

また、失敗が続くかもしれないけど、頑張ろうと思うのであります。

長文、乱文、ご精読ありがとうございました。