換気と言う本気で大事な事。

パン屋さんにおいて、換気をする設備の重要性について今日は書いてみようと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムラタが他のパン屋さんやお菓子屋さん、レストランの厨房に入らせてもらって
じーっと見る事が、その厨房の空気の循環の仕方。

換気設備がしっかりとしている厨房を見ると、流石だなと思う反面。
換気設備が蔑ろになっている厨房を見ると、選択の余地がなかったか、
それとも、厨房を作る経験が不十分なまま厨房を作ってしまったのではないかと
少し疑問に思うのです。

建物の構造上どうしても無理な場合もありますが、
換気設備をどのようにつけるかを
考えた上で厨房づくりをすると、
機械にも、人にも優しい空間となるのだと思っております。

では具体的にどんな換気設備が必要かと言う話を、パン屋に焦点を当てて話していきます。

まず換気の事を話す前に、熱源の事を話さなければいけません。

厨房でまず思いつく熱源といえば
オーブンガス台

食洗機

ここまで答える事ができた方は既に良い線いってます。
次に。

冷蔵庫

ドウコン

焼きあがったパンをさすラック

ここまで答える事ができた人はかなり良い線いってます。

最後に

エアコン

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この最後のエアコン。
室外機が外にあるのであまり関係ないと思うかもしれませんが、
関係が結構あります。

初めのオーブンや、ガス台、食洗機は、元々熱を発生させるので
その上方には排熱された熱い空気を屋外に出すための換気扇が必要なのを想像することは容易です。

次の冷蔵庫や冷凍庫、ドウコンは、庫内を冷却するために排熱されております。
この冷却するために排熱と言うのが大きなポイントなのですが、

パン屋さんの場合、最近の製法などで、オーバーナイト製法や低温長時間発酵などを行うと
どうしても、生地を冷やすと言う作業が必要になってきます。
この時に使うのが、ドウコンや冷蔵庫。

逆に言ってしまいますと、ドウコンや冷蔵庫を上手く使えないと、状態の良い生地を作れないと言うことです。

では、ドウコンや冷蔵庫を上手く使えないと言うことはどう言うことかと言いますと

冷蔵庫等は、庫内を冷やすために『呼吸』のような事をしているわけです。
空気を吸って、熱を冷に変えて、庫内を冷やす、その時に出た熱を排熱する。
この作業をするときに、吸う空気が冷たい空気と熱い空気では全く状況が変わります。
冷たい空気を吸うときは庫内の温度を素早く落とす事ができますが、
暖かい空気を吸うときは庫内の温度が素早く落ちません。
上記のような事が理由で、その排熱された空気の行き場所を考えてあげなければ、
排熱されて暖かい空気をまた吸ってしまうことになります。

これが、夏場の厨房の冷蔵庫が頻繁に冷却不良になる原因だと思われます。
(フィルターの掃除等基本的な事を守った上で壊れる場合)

だから何が言いたいのかと言いますと、

換気扇をつけるとき、
オーブン、ガス台、食洗機、冷蔵庫、ドウコン、焼きあがったパンなどが発する熱
を上手く換気扇によって屋外に出さなければ、厨房の中は蒸し風呂状態になり、
その蒸し風呂状態の中で仕事をする職人たちは、下着まで汗だくになってしまい、
その蒸し風呂状態の中で冷却しようとする機械たちは冷却ができずに、中のパン生地や、
食料が傷んでしまうと言うこと。
さらに言うと、エアコンもすぐに壊れてしまうと言うこと。

ッガ言いたかったのです。

なぜエアコンが壊れるかと言いますと、もうお分かりだと思いますが、
熱は上へ上へと上がっていきます。
この天井付近に停滞する熱の中で頑張っているエアコンは、まさしく42、〜45度もある室温だと勘違いしてしまい、過剰に頑張り過ぎてしまうのです。
これではあまりにもエアコンが可哀想です。

冷やす事を目的とする機械には、出来るだけ熱い空気を吸わせ無いように努めるべきなのだと思っております。

だから換気設備が超重要なのです。

機械が故障しないためにも、人間が汗だくで脱水症状を起こさないためにも。

では、どんな換気扇があるのかと言いますと。

 

 

 

 

 

 

天井扇。
ムラタパンは昔焼肉屋さんだった設備を使いまわしております。
この天井扇。本当に気に入っております。
上へ上へ上ろうとする暖かい(熱い)空気で天井付近に停滞する熱を一気に外に排出してくれます。
この天井扇のおかげで、室温の調整が本当に簡単です。
冬は天井扇を切ると、部屋の頭より高い部分全体がオーブンの熱でホイロ化出来るのです。
ホイロが一つしか置けないムラタパンにとっては、天井付近の熱は時には(冬は)ありがたく、時には(夏は)不要なのです。この要る要らないを簡単に調整できるのが、天井扇。1番のお気に入りです。

 

 

 

 

次のお写真は、ドウコン専用の排熱ダクト付きの換気扇。
夏場はこの換気扇を終始つけております。
この換気扇をつけずにドウコンを冷却機能で使うと冷却不良のサインが出たり、冷却にすごく時間がかかったりと、あまり良い事が起こりません。
ドウコン+換気扇(排熱ダクト)は切っても切り離せない関係です。
たまにこれを完全に無視しているパン屋さんを見ますが、夏場の故障が多いように思います。
せめて、天井が高ければ良いのですが、天井も高く無く、換気もされていないでは、故障するのは目に見えてます。

 

 

 

 

 

 

天井から50cm位下げたところに付けた壁扇。
冬場なんかで、天井付近の暖かい熱は外に出したく無いけど、人間の頭の高さくらいの熱は外に出したいときに回しておきます。
排熱能力は低いですが、細かな調整がきいて、チビな割には役立つ換気扇です。

 

 

 

 

 

 

ガス台の上に付けているフードの中にある、有圧換気(壁)扇。
カスタードを炊いたり、キーマカレーの具材を炊いたりする時も、
しっかりとガス台から出た熱を外に吸い出してくれます。
さすが、有圧です。

最後に本当に小さいこの壁扇

 

 

 

有って無いようなものなのですが、
縦型冷蔵庫の排熱を外に細ーく長ーく出し続けてくれる壁扇。
冬場なんかで室温は下げたく無いけど、冷蔵庫の排熱は外に出したい時に
ポチッと付けておく、厨房の中で一番小さい換気扇。

こんな換気扇を色々と使い分けて厨房の温度や、機械の動作しやすい環境、
人間が働きやすい環境を作っているのです。

最後に問題です。

夏場のパンを焼き続けている厨房で、
エアコンを付けているから、換気扇を切るのと
エアコンを付けながら、換気扇を付け続けるのはどちらが厨房は冷えやすいでしょうか。

これはやってみるしか無いのですが、
厨房で作られる熱
エアコンが作り出す冷気
暖かい空気は上に上がる
冷たい空気は下に降りる

エアコンは大概天井付近に付けられている。

これらの事を考えて、実際にやってみるのです。

機械の強弱の事もありますし、一概にこうしたほうが良いというのは無いのですが、
換気扇を切ってエアコンをつけるのが正解と決めつけるのは如何なものかと思います。

換気する事が、良い場合も、悪い場合もあるのです。

換気と同じくら大事な事が、『吸気』

吸気についてはまた今度〜。

本日はここまで。。

では、素敵なGW終盤を。。。