今現状のパネトーネの作り方(覚書)

始まりは木曜日14時ごろ。
種継をする。
この種継で気にかけていることは、
グルテンを溶かす菌が劣勢になっているかどうかということだ。
もし優勢になっている場合、引っ張ると伸びる。
もし劣勢になっている場合、引っ張ると『ぱつん』と切れる。

これは、元々の水分量と使用する粉によって影響が出る事はもちろんだが、
どんな菌を、どんな環境で、どこまで発酵させて、どう保存するというのが肝になってくるように感じている。

クエン酸回路を劣勢にして、乳酸菌と酵母を優勢にできるような環境を整えてあげることだ。

だから、上記の写真のような感じで発酵させている。
極力外部の影響が少ないように、
極力クエン酸回路を起動させないように、
極力、同一体積、同一質量、から出るエタノールと、二酸化炭素の量を可視化して、発酵環境を可視化できるように。

こんな感じで金曜日にも14時頃に同じ種継をする。

土曜14時ごろ、パネトーネの直接的な種になる中種を作る。
この中種には、小麦以外に、砂糖、バター、卵黄が入るのだが、
この段階で、発酵阻害因子の乳製品が入ることで、発酵が弱くなるのだが、
菌の状態が安定していると、しっかりと膨らむ。

っでこの時の発酵具合だが、ここが結構大事になる。

今ムラタがいいと思っている発酵具合は、指を差し入れたらちょっとオーバー気味な感じを狙っている。
大体、34度で12時間ほど現状はかかっている。

この発酵具合で、本捏ねをしてからの焼き上げるまでにかかる最終発酵時間が大きく変わってしまうことになる。

この最終発酵時間が長くなりすぎると、生地が溶けるバランスと、酸によっってグルテンが強化されるバランスがうまく取れなくなってしまう。

日曜2時頃
本捏ねだ。
この時のこね上げ温度が大体24度を狙っている。
どうしても、バターの配合量が多いため、温度によって硬さが大きく変わることになる。
だから、まともな判断をするために24度に揃えるようにしている。

7時ごろ
生地が三倍くらいに膨らんだところで、
分割&ダイレクトに成形&型詰めをする。

12時ごろ焼成

焼き上がり後、逆さまにして冷めるまで冷やす。

これが超ざっくりとした流れだ。

口溶け、
油分の口の中での広がり方、
発酵の種類の管理による味の表現の仕方、
内層の作り、
決めることがまだたくさんある。
ここからが、大変な作業だ。
そこに技術が入っているかどうかの大きな分かれ道になる。

あと少し。
どこの何をどんなふうに学んだら良いかも大体見えてきた気がする。

この感覚だけで作っているパネトーネを、
具体的にスタッフに教えることができるようになって初めて作れるようになったと言える。

ムラタパンのスタッフがどんな環境に投げ出されても、
最強でいられるようにするために。

守るのではない、
守る技術を身につけさせるのだ。

こんな弱小パン屋がスタッフに財産を与えることなんか出来ない、
だから技術という財産を共有するんだ。
その無形の可視化できない財産で将来の守りたい人を、物を守って欲しいと思う。

守りたければ、強くなれ。っだ。