折り込み系生地の保管の仕方

 

バターの折り込みがうまく出来たら、その後は、『保管』です。
何故ここまで来て『保管』の知識が必要かと言いますと。

せっかく綺麗に折り込んだ生地を綺麗に焼くには、レシピに準じた保管をしなければいけないのです。

保管には冷蔵保管と冷凍保管があります。

冷凍保管に関しては、使っているイーストが冷凍耐性を持っているものなのかをしっかりと考慮した上で冷凍する事。
冷凍したら弱くなってしまうようなイーストを使って、成形したクロワッサン等を冷凍すると当然ながら小さくのっぺりとした、膨らみの悪いものが焼きあがります。

ムラタパンが使用しているイーストはオリエンタル酵母さんの『FDー1』
なかなか使い勝手の良いイーストだと思います。

冷蔵保存に関しては、結構説明が必要だと思いますので大きく気にかけている点が以下です。

 

イーストに乳化剤

イーストに『乳化剤』が入っている場合には、折り込みをした生地は保管の時間を長く置かない方が綺麗な層が残ります。

『イーストに乳化剤』こんな事意識した事が無いかもしれませんが、インスタントドライイースト等には乳化剤が入っております。

バターと、デトランプでしっかりと『油脂と油脂では無いもの』に分けられて層が成り立っているはずなのですが、この乳化作用のせいで、デトランプと油脂が馴染んでしまうのです。
こうなってしまうと、層がキッチリと別れて焼きあがる事が難しく、のっぺりとしたものが焼きあがります。

卵が入っているデトランプでしようする時

この乳化剤と同じような現象が、卵の使用したレシピでも起こりやすくなります。
卵が入っている、デニッシュ生地と、卵が入っていない、クロワッサン生地では、
成形後の『冷蔵保管しても層がきっちり残る時間』と言うのは同じでは無いと感じております。
卵が入っている方が乳化(層が馴染みやすく)しやすくなります。

デトランプに油脂が入っている時

これが結構見落としの多い観点で、
デトランプを捏ねる時に、元々レシピにバターを入れるレシピが存在します。
これは、油脂が入る事によって延ばしやすくなったり
冷却と延ばしやすさの関係性で、そこまで冷やさなくても
しっかりと延びやすくなると言うメリットがある反面
油脂の入っているデトランプでバターを包んで折り込みを入れた場合と
油脂の入っていないデトランプでバターを包んで折り込みを入れた場合は
層がキッチリと別れて焼きあがるかどうかと言う観点では同じにはならないように思います。

油と油は馴染み。水と油は馴染まない。

結局のところこれです。

乳化剤にしろ、卵の乳化作用にしろ、デトランプに入っている油脂分(バター)にしろ

結局のところ

いかに分離させるところは分離させて、焼成まで持っていくかと言う事です。

多くのパン屋さんでやっている事なのですが、
クロワッサン等をカットして、成形しますが、その時に出る端生地を生地の仕込みに入れる事があります。
この残生地をデトランプの仕込みに入れると言うのは、考えて行わなければ
悪循環のスパイラルにはまる事になるので要注意です。

残生地が出る→デトランプの仕込みに入れる(油脂濃度が高くなる)→層が出にくい
残生地が出る→デトランプの仕込みに油脂濃度の高くなった残生地を入れる→ますます層が出にくい
残生地が出る→デトランプの仕込みにますます濃度の高くなった残生地を入れる→…………………..

考えるだけでも、層なんてどう足掻いたって出来っこ無い悪循環スパイラルです。
昔こんな職場にいた事があります。
悲劇的です。と言うかむしろ喜劇的です。

残生地は入れてもいいけど、油脂がどの位までなら増えても品質的に問題がないかを理解した上で
数値的にキッチリと出して残生地を入れると問題がないと思います。

折り込みというのはいかに

分離させるところは分離させて、焼成まで持っていくかと言う事です。

そもそも冷凍保存も冷蔵保存もしないやり方。

ここまで、冷凍保存や冷蔵保存をする事を前提にお話を進めてまいりました。
なぜかと言いますと、便利だからです。
ムラタパンではこんな感じです。

夏場等のスタッフさんの長期休暇等を回す場合、連休をとる場合、スタッフの欠員がある時等、
クロワッサン等を冷凍ストックして、
折り込みをしない等、仕事の分散をしております。
週末が結構忙しい時には、平日に冷凍で溜め込みをして、土日にいっぱい焼く。事もしております。

添加物等を使わずに冷凍する事が出来るというのは、本当に文明の力です。

ですが昔、ムラタが一人でパン屋をしていた頃は、こうでもなかったのです。

夜中の12時に出勤して、その日に焼く分を折り込みを入れて、成形して、
余ろうが、足りなかろうが、夜中の12時にはその日の折り込み系の製造数が決まってしまうというやり方でした。

このやり方だと、余る時は凄くあまり、足りない時は追加で出す事もできないと言う、パン屋経営には少し不向きなやり方でした。これを改善すべく、ありったけの知識と経験で、現状のやり方に落ち着いたという事です。

こんなムラタパンがたまに冷凍ストックがなくて折り込んだ生地を直接その日に焼き上げる事もあるのです。

できない事もないのですが、少しだけ注意が必要なのです。

それが、次回お話ししたい。最終発酵と焼成の関係。

年明け2週目に書かせていただこうと思います。

それでは、良いお年を。

 

ネットパン教室
スポンサーリンク
MOUSUNをフォローする
maisonmurata.com