『低温長時間発酵』
この言葉を使うときにはいくつか注意点があります。
長時間とはどのくらいの時間を言っているのか。
なんだか当たり前な注意点でスミマセン。
漢字そのままの注意点です。
実際にパン屋の厨房でよく使われる温度帯は0度〜12度
長時間と言うのは、
短いもので8時間、
製パンの教科書等では15時間〜18時間、
実際の現場では、15時間〜24時間
メゾンムラタでは、15時間〜60時間、 生地によっては120時間まで冷蔵できます。
こんな感じです。
この温度の幅、時間の幅はどこで決まるのかと言いますと、
生地の種類と、作り手がどんな製法で作りたいかによります。
同じ低温長時間発酵のバゲットと言っても、
シェフによっては、15時間〜20時間で焼き上げたい人もいれば、
ムラタ パンの様に、15時間〜60時間までじっくりゆっくりいつでも焼ける様にしたい
っと言うシェフもいます。
この説明に踏み込むと今の段階では、ちょっと早い気がしますので、
またの機会に。。。。。
では、話を元に戻しましょう。
この低温長時間発酵、
目的をまずは明確にしておきましょう。
冷蔵可能期間内であればいつだって焼けると言うこと。冷蔵保存中の有機酸の発生による風味の改良製法的に長時間発酵させるため、直接方より水和する時間がとれる→しっとり感が増える有機酸の影響によるグルテンの軟化→パンの伸展性の向上生地のpH値の低下による保存性の向上
こんな事を目的として、低温長時間発酵を行っているのです。
以上の事を今回は頭に留めておいて頂けると、今後の展開が読みやすくなると思います。
低温長時間発酵の前置きが長くなりましたが、パン作りの説明に戻りますね。
冷蔵庫へ入れる→保存可能時間72時間
この0〜3度と言うのが大事なのですが、発酵が進まない温度です。
イーストの種類によって、発酵が可能な温度と言うのはそれぞれ違うのですが、
大概のイーストの場合には0〜3度で大丈夫です。
凍ってしまうと違う障害が出てきますので、冷凍にはならない様にしましょう。今回のこの生地の場合、
リッチな生地でプロフェッショナルの場合、生イーストを使う事が多く、
5日間ほど冷蔵保存する事が出来ます。
ですが、家庭製パンを前提に話を進めさせていただきますので、
使っているイーストの種類も考慮に入れまして、3日間を前提に進めます。
冷蔵庫から出して、分割丸め→ベンチタイム
冷蔵庫から出した生地というのは
『結構固いです』
これは、冷えて固まっているというのが大きな原因なのですが、
この生地の場合、油脂分を含んでいる為、より固く感じると思います。
冷えたバターが固くなるのと同じ感覚です。
固いので、手粉の使う量も控えめで大丈夫ですが、
延び難い為、丸めが難しく感じるかもしれません。
でも出来ます。頑張ってください。
っと言いたいのですが、
固くて、どうしようもないという方は、
10分ほど常温でおいて下さい。
生地温が少し温まり丸めやすくなります。
ベンチタイムにかかる時間は、通常の直説法に比べて、少し時間が長くかかります。
冷蔵保存している生地ですので、冷えている分、『複温』するまでにかかる時間が必要だと
思って下さい。
使っている、ホイロ機能や、生地の状態で一概に何度で何分とは言えないのですが、
大体の目安で言えば、
35度で50分位です。
ベンチタイム終了の目安は、次の動画のフィンガーテスト。
指あとが少し残るくらいが丁度良いです。
成型→最終発酵
今回の成型も至ってシンプルな『潰すだけ』
生地の両面がさらっとしている状態で『潰す=ガスを均一にぬく』です。
もし、表面がベタベタしているようでしたら、手粉を振ってさらっとさせましょう。
もし、逆に表面が乾燥して割れるようでしたら』霧吹きをかけて少しだけ待ってから成型に入りましょう。(割れるくらいまで気がつかないのは本当はよくないです)
最終発酵 35度 30分〜
最終発酵が取れたら、
卵を塗って、
指穴を空けて、
グラニュー糖を振って
(今回は陳皮もかけました。温州みかんの皮を乾燥してパウダー状にしたものです。)
角バターを適当に乗せて、
家庭用オーブンの240度に予熱したところで焼きます。
冷蔵庫から出してからそれ以降というのは、ベンチタイムに『複温』と言う部分が増えるだけで、実は今回のようなリッチ生地の場合には、他には何も変わらないのです。