日清製粉 石臼挽き小麦粉 『ロレンス』を使ってみる。

昨年末、兵庫精米の満保さんと日清製粉の営業の方が一緒にきてくれて、
サンプルを頂きました。

ロレンスという粉。
細かいことはネットで気になる方は調べてみてください。

ムラタが気になったことは。
この粉の吸水性を営業の方は押してきたのですが、離水が穏やかなこと。
っという方に大きな関心を寄せました。

吸水を増やすことがトレンドになって既に結構な時が経っておりますが。
ムラタも初めは吸水を限界まで入れる事に集中しておりました。

だからミキシングでも凄いストイックになって他のスタッフに任したく無いような状況でした。

でも、最近の考え方はと言いますと、

『高加水パン』→『高水和パン』に考え方がシフトしております。

水を多く入れる方に注力するよりか、粉の隅々まで水を行き渡らせる方に力を入れ始めたのです。

だから、発酵に結構な時間を使う事になったのです。

通常の営業の場合、最低でも18時間はかけます。
定休日などを挟む場合には、プラス24時間かけます。
っというかかかります(定休日はしっかりと休みたいので。)

この低温で発酵させる製法の事を低温長時間発酵と言われておりますが、
これはもう結構な方々に流通している単語だと思います。

ムラタがこの低温長時間発酵が好きな理由としてまず、

①じっくりと発酵させたパンは美味しいから。
⓶じっくりと吸水しているパンはしっとりとするから。
③焼きたてのパンを1日を通して細かく焼き上げることができるから。

っというのが大まかな理由です。

この③の内容を展開すると、冷蔵庫の中でゆっくりと発酵しているパンは、メゾンムラタでは物にもよりますが、18時間〜42時間いつでも好きな時に冷蔵庫から出して焼くことができるのです。もちろん添加物はなしです。

っでこの18時間〜42時間というのをもっと延ばしたいという欲求が出てくるのです。

よく深き職人です。

なんでそんなに低温長時間発酵の時間を延ばしたいかというと、
食品ロスを減らすこともできるし、労働時間を短くすることも可能になるから。

今まで毎日仕込んでいた生地を二日に一回とかに減らせるようになって、
尚且つ、しっかりと水和して、じっくりと発酵していて美味しい。

こんな夢のような都合のいいことばかり言っておりますが、一つ難点があります。

水和を止める事は難しく発酵力を維持する事には限界があるということ。

粉と水が触れ合うと、どんどん水和していきます。

水和していないパンはパサパサになりやすく、
しっかりと水和しているパンはしっとりとして、
行き過ぎた水和のパンはボリュームに欠けるパンが焼き上がったりします。

発酵力は、イーストや天然酵母が無限に増え続けるわけでは無いという事。
低温で発酵している生地というのは、刻々と生地の酸化の度合いが変わっていきまして、酵母が活動するのに適したphと言うのを維持し続けることは、ph調整剤などを使わない事を前提とすると難しいため、
発酵力と生地の水和とを時間の際限なく延ばすことは難しいのです。

なんだか自分でも書いててわけ分からなくなってきましたが続けます。

そこにこのロレンスっていう粉の登場です。

どうやら離水するのが抑えられるという特性をもっているようです。

低温長時間発酵をしていると、だんだんと水が生地表面に浮いてきて、ベトベトになってくるのです。
それを抑える事ができるかも!

っという粉なのです。

水和を調整できる。

そんな希望のある粉です。

っで試作してみたパンが下の写真。

これ、72時間発酵です。
お店の営業の都合上、焼ける時間を見計らって焼いたのですが。
なんと。
72時間でもクープちゃんと開いて、ボリュームも悪くなし。
味も極端な酸味が出るようなことはなくいい感じ。

なんか凄い粉とであってしまった感が半端では無いです。

っで実用性があるかどうかということ。

ムラタの中でいう実用性とは、

『下町パン屋さん』として使えるコスト=価格の粉なのかどうかということ。

この粉を使う事によってパン価格が1.5倍になってしまうというのであればいくら性能、品質、味が良くても、使いたくても使えないのです。

見積もりとってみます。

番外編。
石臼挽きを調べていたら、和歌山のムギトシさんのホームページに辿り着きまして、色々と細かい説明がありました。
石臼、自家製粉、低速、フレッシュな粉、減農薬、少量生産、玄麦

なんかときめく単語がいっぱいムラタの頭にインプットされました。

現状週4、7日営業ですが、いつの日か特別営業日で、自家製粉の赤茶けてるパンだけを並べる事ができたら楽しいなと。

そんな日が来るかは不明ですが、おじいちゃんになったらやってみたいかもと。

またこの自家製粉についての考え方まとめてみます。