ベンチタイムとは『前成形』
パン作りが一通り出来るように成ってくると
段々と難しいものにトライする生徒さんが多かった気がします。
例えば、丸パン→コッペパン→プチバゲット→バゲット
同じ生地なのに、形が違うものが出来上がる。
まるで、粘土細工のようです。
この形を変える為に大事とされる、製パン行程中の『ベンチタイム』
ムラタパンではこの『ベンチタイム』を『前成形』または『予備成形』と
捉えております。
では、粘土細工とパン生地を扱うところはどう違うのか。
これが、以前にもお話ししたかも知れません。。。。が
加工硬化と構造緩和
粘土細工は、曲げて伸ばしてくっつけて丸めて。。。しても硬くなることは無いのですが。
パン生地は、曲げて伸ばしてくっつけて丸めて。。。すると、どんどん締まっていき、『加工する事で硬化していきます』だけど、『時間が経つにつれて構造が緩和されていきます』
最終的には、表面がビシビシと切れていく事になります。
粘土細工は、曲げて伸ばしてくっつけて丸めて。。。しても硬くなることは無いのですが。
パン生地は、曲げて伸ばしてくっつけて丸めて。。。すると、どんどん締まっていき、『加工する事で硬化していきます』だけど、『時間が経つにつれて構造が緩和されていきます』
最終的には、表面がビシビシと切れていく事になります。
この違いの為
パン生地を上手に形作る事ができる人と、出来ない人に別れます。
二次発酵が終わって、分割丸めの時に、成形の事を考えた『前成形、予備成形』が出来ていると
成形自体が、生地に負荷をかける事なく出来るので、上手に出来ます。
出来ていない人は、二次発酵が終わって分割丸めの時に、成形がどんな形であろうと、丸くしてしまうので
成形の際に、横に長く出来ない事や、うまくめん棒で伸ばせない事、餡子等を上手に包めないなどの障害が出てきます。
ベンチタイム時の形の種類
分割、丸めの時の形をザックリとまとめるとこんな感じです。
締めて丸くする→丸パン、包餡系の成形
締めないけど丸くする→ピザ等の麺棒でのばすタイプ、フーガス等の平べったい成形をするパン
楕円形(雫型)に締める→コッペパン、バターロール等
俵形に締める→バゲット系の成形時に横からの締まりが無い方が都合が良いもの
成形が上手くできずに悩んでいる、パン職人の卵さん達、家庭製パンで綺麗な形の整ったパンを焼きたいと思っている方々。
ベンチタイムを少し気にかけて、どんな成形をしたいから、どんな丸めをしようかなと言うのを考えていただければ、少しだけステップアップができると思います。
パン生地は生き物。捏ね始めた時から命が宿り、焼き上げる時にありがとうと、生命を全うする。理解してあげることが必要なのです。